私立中のほうがトータルで教育費が安いというは塾のセールストークに過ぎない

中学受験塾のセールストークにだまされないために知っておきたいこと

中学受験すべきか悩む理由の一つに教育費がありますよね。
魅力的な教育内容だったとしても、私立中となるとそれなりにお金がかかります。

 

いくら子どものためとはいっても、お金は現実的な問題ですし、高校、大学と中学校の先のことも考えると、際限なくというわけにはいきません。

 

そんなときの塾業界のセールストークが「私立中のほうがトータルでは教育費が安い」というもの。理由は、塾代がかからないからということ。

 

ただ、このセールストークには落とし穴があります!

 

公立中学校に進学すると塾代が必要

公立中学校に進んだ場合、高校受験のための塾代がかかります。
塾に通わないで受験する子もいますが、少数派。

 

文部科学省の調査(子どもの学習費調査H26年)によると、公立中学生の場合、一年生で塾に通っている子の割合が60.6%、三年生となると84.3%となります。

 

塾の費用がいくらぐらいかというと、一年生で年間20.6万円、二年生で24.7万円、三年生で38.7万円。合計すると三年間で84万円

 

この数字は、全国平均なので都市部ではもっと高くなります。
かなりの額ですよね。

 

しかも、塾通いするとなると塾代以外に、交通費夕食代が別にかかることもあります。こうした出費もかなりの額となるものです。

 

これなら高校受験のプレッシャーもなく伸び伸び過ごせる私立中のほうが良いのかと思ってしまいがちですが、気をつけなければならないことがあります。

 

私立中学生でも2人に1人は塾通いをしている!

学習塾のセールストークでは、「私立なら受験がないので塾に通わなくても済みますし…」とサラッと言っていますが、これは前提が間違ってます。

 

高校受験がないのはその通りですが、塾に通わないは間違い
私立中学生でも、かなりの割合の子が塾通いをしています。

 

同じ文部科学省のデータ(子どもの学習費調査H26年)で見てみると、私立中でも一年生で49.8%、二年生で55.6%、三年生で55.7%の子が塾通いをしています。

 

いずれの学年も公立中に通っている子たちよりは通塾率は低いのですが、それでもほぼ2人に1人は私立でも塾通いをしているというわけです。

 

となると、「塾代がかからないから私立中のほうがトータルでは教育費が安い」とはなりませんよね。入学後に後悔しないように、塾のセールストークだと割り切って考えておいてください。

 

中学生の学年別通塾率と平均費用
学年公立私立
通塾率金額通塾率金額
一年生60.6%20.6万円49.8%21.5万円
二年生65.3%24.7万円55.6%25.5万円
三年生84.3%38.7万円55.7%28.2万円

(出所:文部科学省「子どもの学習費調査H26年」)

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